Steam Heart-Scramble DISC 3.5 「BAD COMMUNICATION」【道具使いクエ】
フン、原住民め…どこをほっつき歩いているのだ。
ブツブツと独りごちているのはかつて魔界で生命強化の研究をしていた男。
全く、これほど面白い事が起きているというのに…
イライラとする中に少しだけだが、面はゆさを混ぜてウキウキしてしまっている自分に気がついていないようだ。
ご主人さま、一体何を作られたンスか?
上機嫌を壊さぬようにと恐る恐るタンスミミックは自らの主人に伺いを立てる。
あのぶんぷく鳥じゃ。燃え尽きたと思ったが、しぶとい事にこうしてコアが生きておった。
ワガハイの技術を持ってこれを別のボディーに載せる事ができる。
さらにさらに、このコアを独立した駆動系にすることにより、ボディーを戦局に対応した様々なタイプに乗せ換える事が出来るわけだ。
名付けて「コアブロックシステ…」
それ以上いけない
咄嗟にタンスがツッコミを入れる。
男は顔をしかめたが、とりなおし
フン、まぁよいわ。それよりもカタパルトの方はどうだ?
先日の実験で三点ルーラ加速法は実戦レベルに達しているはずだが。
はい。おっしゃる通り、ルーラ石と二点のルーラポイントに特殊な周波数の魔力を流し続けることにより理論上音速まで加速してルーラをする事ができる様でンス。
通常のルーラは移動時間が若干ですがかかりまンスが、こちらの方法ではほぼ時差ゼロで指定座標まで飛ばせまンス。
しかし、生身の体では……
かまわんよ。生身でなければつまり音速で射出する事ができ、出現地点に衝撃波を起こせる。これは戦略的に大きな革変となる。
本拠地から前線に即時に補給が出来まンスね。
うむ。局地的に最強戦力をねじ込んでの電撃作戦も容易になる。ますます道具使いの時代が来ておるのだ。フハッ…フハハハハ……
そして、このキラーマシンボディはコアブロックとカタパルト射出両方に対応した最新モデルである。ワガハイの技術の粋。美しかろ?
釜鳥は速度コントロールに対して適性があった様だからな。せっかくこやつのコアを載せるという栄誉を与えてやるというに、あやつはどこで何をしておるのだ……
そう言うと男は再びボディの調整に戻っていった
まにえらさん、喜ぶといいでンスね……
タンスの呟きは男の耳には届かなかった。
これは、まにえらの下に青い稲妻が走るほんの少し前の出来事。