外伝:今どき流行りの黒い奴
其は闇か……
おかしい。この森に入ってから断続的に聞こえてくる声
其は闇か……
おっ、「なめんにゃ、つえー奴らが居る」だって。もしかしたらキラーパンサーとか居るんじゃないのか?ちょっと見に行こうよ!
ネコ属との橋渡しの任を受けて猫島にいたわたしは、無造作に建てられて居る看板を見つけて小躍りした。好きなんですよ、キラーパンサー。
嫌がるメンバーを引き連れ意気揚々と歩き回るがキラパンどころかベビーパンサーも見当たらない。変わった事といえばさっきから聞こえてくるささやくような声だけ。
なーんだ、つまんなーい。
おいおい、もう気が済んだら先に進もうぜ。
メンバーも痺れを切らして次々に引き返す事を提案し始めた。仕方ない、引き返すか。
其は闇かッ!
(ジャン!)
我悠久の暗獄に痩躯横たえし者……
其は闇か?
茂みから突然顔を突き出して来たのは漆黒のキラーパンサー。
うわー!黒い!珍しい!
突然現れた珍種のキラーパンサーとの遭遇に舞い上がっていて、わたしは問いかけを聞いていなかった。
汝が本質は闇か?
あ?
意味がわからなくて品のない受け答えをしてしまった。これは良くない。
えーと、闇?闇って何?でも朝起きるの苦手だから闇かも
「あ、えっと、闇です。
すると黒いキラパンは嬉しそうに
「ククク、千年の渇き癒しうる闇の到来か……
とかなんとかブツブツ言っている。見かねたスラめしが、
凸「まにえらさん、コイツ意味わかんねーすよ、やばいっすよ、ほっときましょうよ
「む、貴様###(聞き取れなかった)が無いというのか。ククク、闇に染まるもまた一興。ならば契約を。我は夜、我は風。祈り、ささやき、念じて、呼べ!我が名は…
「よーう、ゲレゲレ~
突然割って入ってきた間延びした声。
(アッ!!...ダラダラダラ...)
「何してんだにゃ、最近巣から出てこないと思ったら人なんかとお喋りして。
オメー、遊んでる暇あるにゃら警備変わってくれよにゃ~。ん?オメー太ったかにゃ?
………(この沈黙はヤバいアレだ)……
「我が名はッ!宵闇の狩人ッ、刮目せよ、そして呼ぶがいいダンケルハイト=イェーガー!!
「だんけるはいと、いぇーがぁ?
何か事情がわからないが強引に事を進めようとしているキラパンの覇気に押され、復唱してしまった。それに呼応するかの様に雄叫びをあげるキラパン。
凸「呼びかけに応えるのは獣の咆哮。まさに闇を統べるべき王者の勝どきよッ!
収拾がつかないと察したのか調子を合わせるスラめし。スライムだけに柔軟だな。と妙な関心をしてしまった。
そして私を乗せ、その場から走り去ろうとする。
「アッ!逃げるにゃあ!バカタレー!今度会ったら酷いにゃーー!
よくわからない事をブツブツ呟く奴だが流石に走りは軽快だ。滑る様に夜の密林を駆ける。
凸「うむ。いい走りだ。誰しも心の中に御し難い獣を飼っている。其れを浪漫と名付ける者がいた。それだけの事。
したり顔で締めるスラめし。なーんか納得いかないんだよなぁ。
ゲレゲレが 仲間になった。