功夫編 其ノ死 老拳師下深山
死の書は見つけておいた。
あんたを巻き込んですまない。
今度は俺も手伝う。
そう言って手渡された真紅の服、死にゆくわたしの死装束か
いつになく真面目なトーンのこの男。
何となくこっちがこの男の本質なんだろーなと思ってみている。
超天遊戯ー死の書ー
奥義伝承に必要な魔獣の角
ヤーンは左、わたしは右をそれぞれ手に入れてくる事に。
だが、一人でこなさなくて良いものなのだろうか……
宵闇の森をキラーパンサーを駆る
会心の一撃で倒す?
ここまで拳一つでやってきたんだ、訳ないっすよ!
てなわけで魔獣の角が揃った時、死の書が光を放つ。
途中で投げ出すことは、許さぬ……
超天道士と思しき著者の思惑。
とうとう本性を現したな、狸爺…
ヤーンは今回は自分がついてくることをやたら強調している。
彼なりに責任を感じているのだろう。
指定の場所、ガタラ原野にあるグルグ地下道へ向かう。
ガタラ原野、懐かしいなぁ。
最初の仲間たちと駆け回った事が妙に思い出される。
みんな、どうしているのかな。
なんて、ちょっと弱気か、らしくない。
魔獣の角を地面に突き刺すと、ゆらり、と巨大な影が伸びて…
上から!
圧倒的な巨体で押しつぶしにかかってくる!こいつを倒せば!
分厚い皮が拳の衝撃を弾く。打撃が殆ど通じていない!
ここで負けるわけにはいかない。生き延びるには、勝つしか無いんだ。腕がもげても拳を突きだせッ突きだせッ!
「爆烈拳ッ!!」
幾度となく夢中で突き出した四つの拳が分厚い皮を通して、衝撃を増幅し内部から破壊する。失われた技術、骨法……
巨大な敵はゆっくりと倒れた。
が、すぐさま起き上がり、再び襲いかかってくる!
何度も何度も叩きのめした。が、そんな事は無かったかのようにすぐに起き上がってくる。
なんだ?どうしてだ?いつまで闘えばいいんだ?
これは、まずい。冷たいものが背筋を伝う。
そこに現れたガウラド!
どうやらこいつは特大の衝撃を与えないと倒せないらしい。
あの技を…使うしか無いのか…
そう呟いたヤーンの体が一瞬大きく膨れ上がったように見えて
喝ッッッ!
それはわたしが初めてヤーンに出会った日に謎の老人が放った気と同じものだった。
鋭い一喝に、魔物は呆気なく崩れ去って…
お師匠様、自分が死ぬってわかってたんだな……
結局俺が超天道士の名を継ぐことになっちまったな
まさか、まにえらの 命が危ないってのも…
方便という事がありますヤーン様
全く、お前にはしてやられたよ
ハッハッハ……
そんな感じで二人は去っていった。
(完全に出来レースでした!)
あ
あ
当て馬のポンゴじゃないんだよッ!!(意味不明)
(徐々に超天遊戯に「浸食」されていくこの感覚は何なのか)
(わたしの体を乗っ取ろうとする何者かをどうにかしないと)
……
(わたしの命の火は、いくばくですか)
(死にゆくわたしの死装束か)
ギ…
(何となくこっちがこの男の本質なんだろーな)
(とうとう本性を現したな狸爺)
ギギ……
(彼なりに責任を感じているのだろう)
(みんな、どうしているのかな。)
ギニャァァーー!!
恥ずかしい!これは恥ずかしい!
わたし一人でから騒ぎだよ!!あいつらの掌でコーロコロ転がされちゃったよ!
今は恥ずかしさで地面をコーロコロしてるよ!
ぶっ飛ばす絶対ぶっ飛ばすあの優男の顎に一撃と言わず変形するまで拳を叩き込んでやる!
次回、全ての優男に鉄槌を!すぐやります!