過去からの、贈りもの
島の南には滅んだ村があるらしい。
そこから来ました。まにえらです。
ム、このブタの帽子……みたことあるな。
風の真珠……ブタに真珠?
さっきオッサンが真珠がどうのと言っていた気が……ドン!ピシャリ!
なんて物騒なフラグを立てるんだ、このおっさんは。こんなに簡単に済むわけがない!
飛竜に乗れるようになることまでお見通しか。姉ながら見事よな。
如何にもな岩扉。
姉は五大陸の景色を見られたのだろうか。
レンダーシア中を回っていたようだけれど、いろんな種族と触れ合って、冒険して。
そんな今は当たり前の生活を、姉は送れたのだろうか。刺青の男から逃げる気の休まらない暮らしをしていたのだろうか。
そんな姉に付き従った彼女の目を思い出す。
物思いにふけっていると、岩が音を立てて道を示した。研究室へ進む。
そこには、いつか焼き払われたテンスの花が。
そういえば姉は戦闘がからきしだった事を思い出してしまった。
ファンク刺青きた。
おい、早く殺せ!
お前には特別に苦しんでもらわんとならんようだな。フラフープのゴミをズタズタに切り裂いて、錬金施設へ足を延ばす。
釜の中には輝く花と、手紙。
わたしは、花より先に手紙に手を伸ばした。
世界中と、ゴキゲンなブタちゃんは言った。それはきっとアストルティア中で、ずっと旅して。
お姉ちゃんがこんな難しい本を読むなんて。
マンガしか読まないような人だったのに。
その夜は姉が晩年を過ごしたであろう研究室で、夜を明かした。
一晩明けて、朝もやの中、故郷の地へ。
約束通りゴキゲンなブタちゃんは待っていた。
そういやここは、私の家だったな。
知っててここにいるのか、それは姉だけが知るところなのだろう。