カミハルムイ 桜の森の満開の下で 後編
さて、暗黒大樹の葉を手に入れ城に帰還した。
親近感の男は既に城に戻っていた。いるよな、こういう調子のいいやつ。世にはばかるんだ。こういう手合いは。
サッと取り出すと王はドン引き。流石にヤバい気配を感じているみたいだ。どう考えても魔障石よりヤバい。アレですら魔法の布で包んでいたのに。素手で触っちゃったよ、考えたくねー。
大臣は褒美をちらつかせ、引き続き王の監視を頼んできた。
本当に、悪人かこういうやつしかいないんだな大臣ポジ。
庭園でぼんやり光る石と池。綺麗だな。
いかにもヤバいところにいかにもヤバいモノを納めに行くわけだが。霧であたりも見えたもんじゃない。
現れた幻影の姉は療養から帰った母を冷たい目で見ていた。
姉上が母上から貰った食べ物をはたき落した。
崩れた二階の本棚に、日記と思しきものが。
療養かさに出た母からの連絡が途絶えたことを記し、そこから先は書かれていない。
霊感の強い姉、病気の母が帰ってきてからやたら元気……そしてそれに反発する姉。
そしてあからさまにヤバいアイテムを所望する母。
あの、さ。このパターンはさ……
まぁ、見届けるよ。
暗黒大樹の葉により、復活した母上は姉上が狂った経緯を説明した。
そうして王家の庭にて全てが明らかになるらしい。
王が形見の指輪わ池に投げ込むと白い木に覆い尽くされた美しい場所へと運ばれた。
そして案の定ニコロイ王は殴り倒され、母上は大蜘蛛に姿を変えた。
しかし、わたしが倒せるもので良かったよ。
みんな嘘ついて世界にあだなす奴らだからな。
なんで騙すんだよ。
光に包まれ姉上の姿が顕現した。
最後には救われていったみたい。
失われた過去を知って、愛されていたことを知って、ようやく隙間を埋められた王はきっとこの素敵な王都を守ってくれるだろう。
あと、親近感のおっさん、一つだけ、言わせてくれ。あんたドワーフだろ!
こうしてキーエンブレムが10個集まった。
わたしは旅に出る前よりずっとこの世界のことが好きになっていた。
去って行った人達はわたしたちにより良い未来を託そうとしてくれていた。
わたしには決着をつけるべき相手がいる。
行こう、冥界の入り口があるという、ランドン山脈へ。
まにえらの旅は続いてゆく……